プレッシャー克服のための5つのヒント!プレッシャーとの付き合い方

受験や就職、スポーツ、演奏会などにつきまとう「プレッシャー」・・・時に私たちのパフォーマンスに悪影響を及ぼしてしまう存在です。

しかしながら、プレッシャーは元々は、その出来事に対する思いの強さから生まれるものです。

そして、プレッシャーとの付き合い方を知っておけば、そのマイナスの影響を弱めることも可能なのです。

このページでは、そんなプレッシャーとの付き合い方を、プレッシャーの正体や原因、克服方法などに分けて詳しくご紹介していきます。

[adchord]

コンテンツ

プレッシャーの意味と存在意義

そもそも、人はどんな時にプレッシャーを感じるのでしょうか?プレッシャーを感じる人が多い場面には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 大学入試や公務員試験などの重要な試験を受ける時
  • 音楽の演奏会に出演する時
  • スポーツの大会のいちばん大事な試合

このような場面では、人は多かれ少なかれ、プレッシャーを感じます。

プレッシャーは、やる気の裏返しであるように思えますが、時に過度の緊張を引き起こし、本番のパフォーマンスを低下させてしまうこともある、付き合い方の難しいものです。

どうして人は、プレッシャーを感じることによって緊張状態をつくり出してしまうのでしょうか?

実は、プレッシャーは、狩猟などをしていた時代の名残であると考えられています。

プレッシャーは、生きのびる者とそうでない者を決定するための「選抜メカニズム」として進化した。初めての子どもの教育について妻と意見が食いちがうことは大きなストレスだが、追ってくる肉食動物から逃れることは単なるストレスではなく、プレッシャーである――逃げるか撃退するかしなければ、こちらの命が危ない。プレッシャーを感じるのは、何か重大なことが危険にさらされている場合である。

先史時代の人類はつねに命を危険にさらされており、道を一つ踏みはずしただけでたちまち死にいたる危険があった。現代では、最も入プレッシャーな状況でも文字どおりの意味で生命が危険にさらされることはない。もちろん、警察官、登山家、航空管制官、救急救命室の医療スタッフなど、危険度の高い環境で仕事をする人は別だが、基本的なレベルでは、プレッシャーに対する感覚や考えはどれも似通っている。つまい、うまくやらなければ自分やほかの人が被害をこうむるかもしれない、昇進できないかもしれない、成功できないかもしれない、といったことである。

――ヘンドリー・ウェイジンガー&J・P・ポーリウ=フライ「プレッシャーなんてこわくない」より引用。

つまり、プレッシャーとは、もともと狩りなどの命の危険を伴うような重要な場面において、血流の流れなどを良くしてパフォーマンスを向上させるための、身体のだったのです。

現在の世界、とりわけ私たちが住む日本のような地域では、先史時代のように命がけの場面というのはほとんどないでしょう。

それでも、プレッシャーは、各個人の生活を左右するような重要な場面において、現代でも生き続けているのです。

重要な場面でパフォーマンスを向上させるために存在するプレッシャー・・・その正体はどのようなものなのでしょうか?

プレッシャーとは、ある結果を手に入れたい、もしくは手に入れなければならないという心理的な圧迫感や切迫感のことです。

プレッシャーは、自分の内面世界で心理的につくり出すこともあれば、職場の上司や先生などの外部から与えられる場合もあります。

いずれにせよ、プレッシャーは「結果を出さなければならない」という気持ちが生み出すものです。人は自分にプレッシャーをかけることによって、血のめぐりをよくしたり、瞬発力を高めようとしたりします。

ところが、人はプレッシャーを過度に感じすぎると、血のめぐりが良くなりすぎたり、手足が震えたり、筋肉に力が入りすぎたり、視野がせまくなったりしてしまいます。多くの人は、強いプレッシャーを感じることでパフォーマンスが低下してしまいます。

つまり、プレッシャーとは「結果を出すこと」への強い思いが生み出すものであり、プレッシャーの影響を受けやすい人は、それだけ結果への思いが強いことへの裏返しでもあるのです。

背負っているものが多い人ほど、プレッシャーの影響は強くなる、と言い換えてもよいでしょう。

[adchord]

プレッシャーが発生する条件

結果を出したいという気持ちが強いからこそ生まれるプレッシャー・・・。

具体的にどのような条件がそろったときにプレッシャーは大きくなるのでしょうか?

今回は、強いプレッシャーが生まれる条件として考えられるものを、以下の4つにまとめました。

  • 自分の人生における重要性が高いこと
  • 結果が不確実であること
  • 背負っているものが大きいこと
  • 自分の行動が結果に与える影響が大きいこと

これらのプレッシャーが発生する条件について、順に見ていきましょう。

自分の人生における重要性が高いこと

プレッシャーが大きくなる条件の1つ目は、「自分の人生における重要性が高いこと」です。

たとえば、公務員試験の場合を考えてみましょう。

Aさんは、大学に進学するときから、将来は地元の市役所に就職して、地元の発展に貢献していきたいという思いをずっと持ち続け、試験勉強に打ち込んできました。

一方で、同じ市役所を受験するBさんは、できれば地元で働きたいと考え、地元で働くなら公務員もいいかなと、就職活動を始めてから市役所を受験することを決めました。でも、本命は地元でいちばん大きい銀行です。

果たして、AさんとBさんでは、どちらの方が試験を受ける時のプレッシャーが大きくなるでしょうか?

きっと、誰もがAさんと答えるでしょう。なぜなら、Aさんの方が、自分の人生における市役所の就職試験が占める重要度がはるかに大きいからです。

このように、人生におけるある出来事の重要度の大きさは、プレッシャーの大きさにも大きく影響します。

結果が不確実であること

プレッシャーが大きくなる2つ目の条件は、「結果が不確実であること」です。

今度は、スポーツの試合の場合を考えてみましょう。

テニスの大会に出場しているCさんは、県大会ではいつも強豪たちと優勝争いをする実力者です。

そんなCさんが、県大会で弱小校の無名選手Dさんと戦う場合と、いつも優勝争いをする最大のライバルDさんと戦う場合を比べてみてください。

Dさんと戦う場合とEさんと戦う場合、どちらがプレッシャーが大きいと思いますか?

この場合は、Eさんと戦う方がはるかにプレッシャーが大きいと考えられます。

なぜなら、Eさんと戦う方が「結果の不確実性が高い」からです。

県でトップクラスのCさんがDさんと戦っても、負ける確率は限りなく小さいと言えますが、Eさんと戦った場合には、勝てるかどうかわかりません。

このように、欲しい結果を手にすることが困難であればあるほど、プレッシャーは高まってしまうのです。

背負っているものが大きいこと

プレッシャーが高まる第3の条件は、「背負っているものが大きいこと」です。

今度は医学部受験の例を考えてみましょう。

Fさんは現役の受験生で、自分の意志で医者になりたいと思っていますが、親は何でも好きな道に進めばいいと思っています。国立の前期試験は国立大学の医学部に挑戦しますが、もし不合格であれば、後期試験はA判定でほぼ合格確実の国立大学工学部に行こうと思っています。

一方で、Gさんは3回目の受験に挑戦する浪人生で、医師である親から国立の医学部に行って自分の後を継ぐ道以外は認めないと言われています。医師になるため、これまで現役時代も浪人時代もずっと受験勉強に明け暮れてきました。前期試験も後期試験も国立の医学部を受験しますが、医学部人気の高さから、後期試験は厳しいと言われています。

今回の例では、FさんとGさん、どちらの方が強いプレッシャーを感じるでしょうか?

答えはほぼ間違いなく、Gさんでしょう。なぜなら、Gさんの方が親の期待や受験勉強にかけてきた時間など、背負っているものが大きいからです。

このように、その人が背負っているものの大きさが大きければ大きいほど、プレッシャーは強くなる傾向にあります。

自分の行動が結果に与える影響が大きいこと

プレッシャーが高まる条件の4つ目は、「自分の行動が結果に与える影響が大きいこと」です。

たとえば、剣道の団体戦(5人中3人勝てば勝利)の場合で考えてみましょう。

団体戦の中堅(3人目)をつとめるHさんの順番に回ってきたとき、Hさんの高校は2-0で大きくリードしています。Hさんの高校は中堅のHさん・副将・大将のうち誰かひとりが勝利すれば団体戦も勝つことができます。

一方で、大将(5人目)をつとめるIさんには、2-2で大将の勝ち負けが団体戦の結果を左右する非常に重要な場面が回ってきました。相手との実力も伯仲で、どちらが勝ってもおかしくありません。

今回のケースでは、間違いなくHさんよりIさんにふりかかるプレッシャーの方が大きいと言えるでしょう。

なぜなら、Iさんの場合の方が「自分の行動が結果に与える影響が大きい」からです。

このように、自分の行動の結果への影響が大きければ大きいほど、プレッシャーは高くなる傾向にあります。

[adchord]

プレッシャーをつくり出す原因には何があるの?具体例は?

ここまででプレッシャーの正体やプレッシャーが発生する条件などを確認してきました。

続いては、もう少し視点をミクロのレベルに移して、プレッシャーの原因となるものにはどのようなものがあるのか、いくつか具体例を見ていきましょう。
※もちろんここに挙げる要因はあくまでも部分的なものであり、他にもたくさんの要因が考えられます。

結果への思いの強さ

ある出来事の結果への思いが強いと、強いプレッシャーが生まれます。

たとえば、以下のような思いが例として考えられます。

  • 自分は医者になることしか考えられないから、何としても医学部に合格しなければならない
  • インターハイに出ることは小学校からの夢だから、この決勝は何が何でも勝たなければならない
  • 自分は公務員になること以外の選択肢は考えていない、たとえ何年かかっても公務員になる

以上のような、ある出来事への強い思いは、人生におけるその出来事の重要度が非常に高いことを意味するため、プレッシャーが高まります。

周囲からの期待

周囲からの期待の大きさも、プレッシャーの強さに影響します。

  • 絶対に息子には医者になって家を継いでほしい、その他の進路は認めない
  • 野球の県大会で10年連続で優勝している伝統を守り続けなければならない
  • 私がなれなかったピアニストに、娘には絶対になってもらいたい

このような周囲の期待は、本人に気持ちを押しつけすぎると強いプレッシャーを生んでしまいます。

そのため、周囲の人が不必要にプレッシャーを押しつけてしまわないためには、失敗したり、その他の選択肢を選んだりすることも受容する態度を示すことが何よりも大切です。

蛇足ですが、周囲からの期待は押しつけすぎるとプレッシャーになりますが、応援のような好意的ななものであれば、パフォーマンスの向上を後押しする力になる可能性もあります。

本番までに注いできた時間や労力

また、本番を迎えるまでにかけてきた時間や労力が大きいほど、プレッシャーは大きくなる傾向にあります。

たとえば、以下のような例が考えられます。

  • ずっと医学部を受験し続け、3浪で医学部を受験する生徒
  • 1年間かけて練習したり打ち合わせなどを繰り返したりしてきたピアノ・コンサート
  • 3歳の時からオリンピックに出るために毎日練習を重ねてきたバドミントン選手

上の受験生の例で言えば、3浪の生徒は、現役で医学部を受験する生徒よりも強いプレッシャーを感じる可能性が高いです。

なぜなら、それまでに何年も勉強に時間を注いできたことや、予備校代などにお金を費やしてきたために、背負っているものが大きくなってしまうからです。

選択肢の少なさ

これは受験や就職活動などに言えることですが、現在向き合っている選択肢について、それ以外の選択肢が少なければ少ないほど、プレッシャーは大きくなる傾向にあります。

たとえば、以下のようなイメージです。

  • 公務員試験で1つの自治体だけを受験している>複数の自治体を併願している
  • どうしても三菱商事に就職したくて1社しか受けない>5大総合商社や専門商社にまで視野を広げて受験している

一般的に、不本意であっても選択肢をたくさん用意しておくことで、プレッシャーをある程度低減することができます。

決定的な状況

加えて、自分の行動がある状況において決定的であればあるほど、プレッシャーは大きくなります。

たとえば、以下のような場面ではプレッシャーが大きくなることがお分かりいただけると思います。

  • サッカーの後半にて、同点で迎えたPKのチャンスで代表してボールを蹴るキッカー
  • テニスの団体戦で、2-2で迎えた最後の第3シングルスを務める選手
  • 助かる見込みが50%の外科手術を担当する外科医

以上のような決定的な場面では、人は一般的に強いプレッシャーを感じます。

[adchord]

プレッシャー克服のための5つのヒント

大事な場面で私たちのパフォーマンスを低下させてしまうことの多いプレッシャーを、私たちはどのようにして克服していけばいいのでしょうか?

プレッシャーへの対処方法は様々なものが考案されていますが、ここでは主要なものを5つの考え方に絞ってご紹介したいと思います。

「知っている」「わかる」から「できる」へ

本番で良いパフォーマンスを発揮できるようにするためには、必要な動作が無意識的に「できる」ようにしておく必要があります。

これはつまり、「知っている」や「理解している」だけでは不十分であり、反復を通して考えなくても「できる」状態にまで仕上げて必要がある、という意味です。

受験生の例でいえば、いくら参考書を読んで「知って」いたり、授業で先生からどれだけ素晴らしい解説を聞いて「理解して」いたりしても、入試本番の緊張感の中では問題を解けないことが多いです。

きちんと入試本番で力を発揮している受験生たちに共通して言えることは、「知っている」「理解している」ことを何回も実際に問題を解いて、反射的に「できる」状態にしているということです。

言い換えると、インプット(=知識や解き方を頭の中に入れる)ばかりしていて、アウトプット(=せっかく仕入れたものを実際に使ってみる)を通して頭の中から「出す」訓練をしていないと、プレッシャーの強い状況下で良いパフォーマンスを発揮することができないということです。

そして、「できる」状態をつくり上げるためには、楽器の演奏であれば同じところを何回も弾く練習をすることや、受験勉強で言えば練習問題や過去問を何回も反復して解く、といった「反復」が重要になります。

考えなくても「できる」状態を作っておくことで、パフォーマンスを発揮できない確率を下げ、プレッシャーが発生する条件である「不確実性」を低下させることができます。

しかしながら、「できる」も万能ではなく、少し注意も必要です。

と言うのも、プレッシャー・マネジメントの専門家であるHendrie Weisingerと心理学者のJ・P・Pawliew-Fryは、著書「PERFORMING UNDER PRESSURE」(早川書房。邦題:プレッシャーなんてこわくない)において、以下の事項をしていきしています。

手続き記憶(=無意識に「できる」状態になっている、体で覚えたもの)は、手順などを考えることに意識を持っていくことで、その動きが阻害されてしまう危険性(p79~p89より要約)

これはつまり、せっかく「できる」状態に仕上げたもの(=手続き記憶)であっても、ああしよう、こうしようと改めて余計なことを考えると、練習通りにできなくなってしまう可能性がある、ということです。

したがって、一度体で覚えたことを本番で再現しようとしているのであれば、余計なことを考えずに体が反応するままに身を任せた方がうまくいくということを示唆しています。

まとめると、強いプレッシャーのかかる場面では、練習の段階において反復によって動作を無意識的に「できる」状態にまで高めておいて、本番をむかえたらあとは手順など頭の中で余計な言葉をめぐらせずに目の前のパフォーマンスに集中することが、良いパフォーマンスを出すための秘訣です。

「挑戦」のマインドで本番を迎えよう

続いては、マインドの持ち方についてです。強いプレシャーの下では、「挑戦」のメンタルでのぞむことが、パフォーマンスを高める上でも有効であると言われています。

再び受験生の例をあげれば、普段の実力もぱっとせずセンター試験もそこまで得点できていないような受験生が、逆転合格を果たす場面を私は何度も見てきました。

逆転を果たした受験生の多くは、「ダメもとでこれまで勉強してきた成果を出し切ろう」「状況は厳しいけど、今後のためにも1点でも多く取れるようベストを尽くそう」のように、困難な状況下でもなんとか立ち向かっていこうという、前向きなマインドで本番をむかえていました。

一方で、普段の実力は申し分なく、ほぼ受かることは確実だろうと思われている受験生でも、残念ながら第一志望に受からないという事例をたくさん見てきました。

そのような学生に共通するのは、「本番で模試のときみたいなミスをしたらどうしよう」「これで失敗したらもう1年がんばらないといけない」といったように、最悪の場合をイメージしてしまうということでした。

不思議なことに、プレッシャーの強い状況下では、人のパフォーマンスは想像以上に頭の中の「イメージ」の影響を受けます

そのため、強いプレッシャーがかかる状況下では、プレッシャーによって自分がマイナスの影響を受けるという受動的な気持ちではなく、自分が目の前の状況にポジティブに働きかけてやるんだという能動的な気持ちを持つことが非常に重要な意味を持ちます。

苦手な人は、本番前に「できるできるできる…」とつぶやくだけでも違います。そのような能動的なマインドを本番で持てるように普段から訓練することによって、プレッシャーを押し返せる自分をつくっていきましょう。

自分にOKを上げて自信を育もう

もうひとつプレッシャーを乗り超えるうえで大事なことは、日々の積み重ねの中で確かな「自信」を育てていくことです。

上述のように、プレッシャーは「結果を出したい・出さなければならないという気持ちから生じる圧迫感」です。

これは裏を返せば、手に入れたい結果までの距離が大きいと感じるほど、圧迫感が大きくなってしまうということです。

自分の実力に対する自信が十分に育っていないと、自分の実力と欲しい結果との間に、途方もない距離を感じてしまいます

この場合、自分の実力でその結果を手に入れることを不必要なほど困難だと感じてしまうため、感じる圧迫感も人一倍大きくなってしまいます。

そのため、プレッシャーの影響が大きくなり、パフォーマンスが過度に低下してしまいます。

そのため、日々の積み重ねの中で長期的に自信を育んでいくことは、プレッシャーを乗り越える上で本当に大切な要素です。

自信の育て方は様々なアプローチがあるので、ここでは書き切れませんが、最後に一つだけ自信を獲得するためのヒントを書きたいと思います。

受験生を指導する中で感じたのは、きちんと努力していても自分に自信が持てない人は、日々の自分にOKをあげることができていない場合が多いです。

自信が足りない人は、概してまじめな人が多いです。まじめな人は多くの場合、「~しなければならない(should / must)」という向上心を持ち、意識を高く日々の勉強や練習に励んでいます。

ところが、「~しなければならない」という気持ちを持つ人は、毎日の目標をものすごく高く設定します。自分が1日100%の力で走り続けることができればなんとか達成できるくらいの高い目標です。

ところが、毎日計画通りに100%の力で走り続けることは、ほとんどの場合困難です。そして、毎日の目標を達成できず、「もっとやらなきゃ」「自分はまだまだだ」と、日々の自分にOKをあげることができません。

しかしながら、実は、自信を構成する大きな要素の1つは、それまでの自分にどれだけOKをあげられたかなのです。

そのため、自分に厳しすぎる自覚のある人は、毎日の目標をいつも100%走り続ける自分で考えるのではなく、持続可能なくらいまで下げてあげることも大切です。

そして、毎日少し背伸びしてがんばれば達成できるくらいの目標を達成できた自分にOKをあげましょう。それよりたくさんできたら、自分を心からほめてあげましょう。

自分がきちんと継続できる目標を設定することで、自分の中にOKをたくさん積み重ね、揺るぎのない自信をつくっていきましょう。

他の選択肢を考えておこう

本番でのプレッシャーを小さくするための方策として、「他の選択肢を用意しておく」ことも非常に効果的です。

というのも、万一にも失敗してしまったときに他の取り得る選択肢があるかどうかで、本番での心の余裕が全然異なるからです。

たとえば、国公立大学の医学部が第一志望ですが、奨学金を借りるなどいろいろやりくりすれば通えそうな学費の安い私立大学の医学部に合格をもらっておけば、本番での心の余裕が大きくなります。(実際に別の学校に合格していたことで、センター試験の点数が絶望的でも逆転合格を果たした人もいます)

他に、就職活動の例であれば、本命がウェブライターだったとして、その他にも関連分野であるウェブマーケティング企業やウェブデザイン会社に内定をもらっておけば、心に余裕をもって面接に臨むことができます。

他の選択肢を考えておくということは、もしも失敗してしまったときのことに考えをめぐらせておく、ということです。

もちろん、誰もが第一志望の学校や企業や職業などに受かりたいと思っています。誰だって、できれば第2志望や第3志望のことなんて考えたくありません。

しかしながら、他の選択肢を何も用意しておかないということは、その出来事の人生における重要性や影響力を、過剰に高めてしまいかねません。

プレッシャーの条件の箇所で述べた通り、ある出来事の重要性が高まれば高まるほど、プレッシャーも大きくなってしまいがちです。

そのため、気は進まないにしても、時には立ち止まって別の選択肢について考えをめぐらせておくことは、プレッシャー・マネジメントという観点からも大事なことなのです。

もちろん、第一志望に受かることが何よりも大切です。別の選択肢も考えておくことで心の余裕をつくっておき、プレッシャーの影響を小さくすることで合格可能性を高めておきましょう!という話です。

[adchord]

プレッシャーを抱えている人に周りの人ができることは?

ここまで、プレッシャーの正体や原因、対処法などについて詳しく見てきました。

最後に、強いプレッシャーを抱えている人に対して、周りの人ができることには何があるのでしょうか?

ここでご紹介するものはほんの一部ですが、いくつか例を見ていきましょう。

自己肯定感を育む

プレッシャーを克服するための方法の箇所で述べましたが、本番で力を発揮するための重要な要素のひとつに、「自信」を育んでおくことがあります。

この「自信」というものは、自分で自分にOKをあげることでも育んでいくことは可能です。ただ、それ以上に、周りの人がその人を日常的に認めてあげることが、自信を育む上では何よりも効果的です。

そんなに特別なことをしてあげる必要はありません。受験であればその日どんな勉強をしたのか、スポーツであればその日にどんな練習やトレーニングをしたのか、しっかり耳を傾けてあげてください。

そして、がんばった本人に向けて、しっかりOKの言葉をかけてあげてください。

もしかしたら、本人にとっては頑張りが足りないと感じるかもしれません。しかしながら、本来、目標に向かって少しでも頑張って、ほんの一歩でも前進できたのであれば、それは十分に尊いことなのです。

自信を育むのは、本人以上に周りの承認の力が大きいものです。応援しているのであれば、ぜひ継続的に頑張ったプロセスをたくさんほめてあげるようにしましょう。

期待を押しつけすぎない

また、周りの人のかかわり方として、期待を必要以上に押しつけないこともまた、大切です。

周囲の人の応援は、適切な時期・量であれば、励みになり、力にもなります。

しかしながら、自分のことではないのに「受からなければならない」「勝たねばならない」という義務感を押してしまうと、それは大きなプレッシャーとなり、本人のパフォーマンスに悪影響を及ぼしてしまいます。

ですから、期待をすることはわるいことではありませんが、過剰に押しつけないように気をつけるようにしましょう。

できることであれば、失敗したとしても受け止めて、その後のことを一緒に考えたり一緒に歩んだりする、大きな器量で包んであげるようにしましょう!

他の選択肢を許容する

また、他の選択肢について一緒に考えたり、提示・許容したりしてあげることも、プレッシャーの影響を弱めるのに効果的です。

受験であれば、学費が安くて奨学金があれば何とか通えそうな併願校を一緒に考え、受験を認めてあげる、など。

選択肢というものは、思いが強ければ強いほどたった1つしかないように思えるものです。

しかしながら、費用やタイミングなど、様々な条件を変えてシミュレーションしてみれば、意外と許容範囲の選択肢が見つかることも少なくありません。

たとえば、途中まで国公立の医学部しか受験は認めない!と言っていたご家庭が、産業医科大学であれば通わせてあげられそうだということを知り受験を認めたら、すんなりと産業医科大学に合格して医学部の道を歩んでいる学生も過去にはいたものです。

選択肢を増やしてあげることは、本番でのプレッシャーを低減するのに有効です。ぜひ、本人と対話する時間を設けて、本人の希望に沿うような選択肢がないか、一緒に寄り添って考えてみてあげてください。

[adchord]

プレッシャーとうまく付き合うために

プレッシャーの正体や原因、克服方法など、たくさん書いてしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。

最後に強調しておきたいのですが、プレッシャーは「敵」ではありません。

ここまで見てきたように、ある出来事が自分にとって重要性が高く、そこに欠ける自分の思いが強いからこそ生まれるものなのです。

ただ、プレッシャーが強すぎると、時にマイナスの側面が生じてしまうことは紛れもない事実です。プレッシャーをゼロにすることは、残念ながらむずかしいでしょう。

しかしながら、プレッシャーはどんな時に強くなるのか、どうすれば本番でのプレッシャーを小さくすることができるのかを知り対処することは十分に可能です。

このページでもプレッシャーへの対処方法をいくつかご紹介しているので、できそうなものからぜひ試してみてください。

ここでご紹介したプレッシャーとの付き合い方が、あなたやあなたの周りの人にとって重要な出来事を乗り越える一助となれば幸甚です♪

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

「言葉と傾聴で人の心を豊かにすること」をライフワークとするカウンセラーです。あなたの心の奥に眠る思いを言葉に翻訳します。詳細はこちら

コメント

コメントする

コンテンツ
閉じる