カウンセラーが傾聴を通して問題解決のお手伝いをする「カウンセリング」
・・・なぜカウンセリングをしてもらうと心がスッキリするのでしょうか?
簡単に答えをお伝えしておくと、カウンセリングを通して「自分の気持ちに言葉が与えられるから」「自分の気持ちをより肯定的に捉えられるようになるから」です。
このページでは、カウンセリングを通して心がスッキリする理由・メカニズムを、事例を見ながらわかりやすく説明していきます。
カウンセリングって具体的に何をするの?
そもそも、カウンセリングという営みの中で、どのようなことが行われているのでしょうか?簡単に確認しておきましょう。
カウンセリングは、カウンセラーが相談者様の悩みや問題について傾聴することで、相談者様が抱える問題を解決するお手伝いをしたり、理想の自分に近づくお手伝いをしたりする営みのことです。
カウンセラーは、相談者様が前に進むための障害となっていることが何であるのかを明らかにするために、様々な角度から質問し、相談者の方の言葉に耳を深く傾けます。
そして、相談者様から紡ぎ出される言葉をヒントに状況を整理し、相談者様にとって何が悩みの原因となっているのかを探り当てていきます。
この時に大切になるのが「言葉」です。
カウンセラーは、相談者様の言葉から読み取った気持ちや状況を、言葉にして相談者様にお伝えします。
その言葉が相談者様の内面世界にある気持ちと合致した時に、相談者様は無意識下にあった本当の自分と出会い、次のステップに進むためのヒントを得ることができます。
つまり、カウンセリングとは、カウンセラーが傾聴を通じて相談者様の気持ちや状況を言葉にすることで、悩みや問題を抱えた相談者様が一歩前に進むお手伝いをする営みなのです。
カウンセリングを受けるとなぜスッキリするの?
傾聴を通じて相談者の内面世界を言葉にし、前に進むお手伝いをするカウンセリング・・・
カウンセリングを受けた方は、よく「心がスッキリした」、「胸につっかえていたモヤモヤしたものが取れた」、「心がすごく楽になって驚いている」などと口々に仰います。
なぜ、カウンセリングを受けることで、相談者様の心がスッキリするのでしょうか?
この点については、様々な要因があるとは思いますが、特に大きく分けて、以下の2点が重要だと考えられます。
・自分の心の中にある気持ちに言葉を与えられるから
・無意識に否定している気持ちを捉えなおすことができるから
自分の心の中にある顕在化していない気持ちに言葉を与えられるから
カウンセリングで心がスッキリする第一の理由は、良いカウンセリングを受けると、自分の内面世界に存在しながらも潜在的で形が与えられていない気持ちに、言葉が与えられるからです。
たとえば、就職活動の相談で、マーケティングや企画などの職種が気になって仕方ないのに、自分ではなぜマーケティングや企画職に強く惹かれるのかがわからないAさんの例を見てみましょう。
Aさんの学生時代に打ち込んだことや趣味の話によくよく耳を傾けてみると、次から次へと、何かと何かをつなげてアイディアを生み出すことにやりがいを感じていることがわかりました。
そして、これらのエピソードから、Aさんは一見して関連がない何かと別の何かにつながりを見出し、アイディアへと昇華する「着想」という資質がとても強いことがわかります。
「何かと何かをつなげてアイディアを創り出すこと」が好きで得意だから、マーケティングや企画のお仕事の話を聴いた時に他にはないワクワク感を感じた・・・
それがわかった時、Aさんの中でストンと今までの自分が全て腑に落ちた確かな感覚がありました。
それからAさんは、「何かと何かをつなげてアイディアを創り出すこと」を軸に業界や職種を研究し、自信を持って自分の経験と適性をPRしたことで、無事ご自身の希望通りの職種に就職を決めることができました。
以上の例のように、カウンセリングを通して、今まで自分の中でなんとなくこうかな?と思っていたことに、確かな言葉を与えることができます。
この“自分の潜在意識に言葉を与える”行為こそ「言語化」に他なりません。
カウンセリングの本質は、相談者様の潜在的な内面世界の「言語化」にこそあります。
人は、自分の潜在意識に言葉を与えられることで、自分の人生の目的地を描くと共に、自分の生き方に自信が持てるようになるのです。
無意識に否定している気持ちを捉えなおすことができるから
カウンセリングで心がスッキリする第二の理由は、そんなことを思ってはいけない、といった無意識に自分の中で否定してしまっている気持ちを、より建設的に捉えなおすことができるからです。
ここでは、旦那さんのストレートで時にキツイもの言いに苦しんでいたBさんの例を見てみましょう。
Bさんは、定年間際でガンを克服しましたが、薬の副作用等で体調が優れず、ちょうど60歳くらいで勤め上げた会社を退職してしまいました。
現在では、60歳から年金をもらうことができますが、支給開始を65歳まで待たなければ、もらえる額が大きく減ってしまいます。
Bさんは、元々なんとか暮らしていくのがやっとくらいの収入で、年金生活になっていよいよ金銭的な余裕がなくなってしまいました。
それでも、旦那さんの建てた家に住み、一緒にご飯を食べるたりすることで、生活は何とかできている状況でした。
ただ、病気になってからうつ状態がなかなか治らなかったこともあり、旦那さんからの「笑顔がない」「もっとまともなご飯が食べたい」といった言葉に、心の奥ではとても傷ついていました。
それでも、結婚してから経済的にも精神的にも支えられたこともあって、旦那さんの言葉にイライラしたり、傷ついたりしている自分の気持ちを、とても否定的に捉えてしまっていました。
無意識のうちに、「そんなことを思ってはいけない」・・・そんな風に思っていたのです。
旦那さんは、良くも悪くも裏表がなく、思ったことをストレートに表現してしまいます。
体調が良い時には信頼できて良いと思えていたそのような性格も、病気になってからはストレス源になってしまっていました。
そんなBさんの話を聴いていると、旦那さんの話をするときに、無理に肯定的に話しているのがよく伝わってきました。
そこで、旦那さんの言葉は客観的に見て傷つく人もいる言葉だし、ましてや心が弱っているときにはストレスになってしまうのは仕方がないことである、ということをお伝えしました。
するとBさんは、しばらく魂が抜けたようにぼーっとした状態になった後に、「そんな風に思っていいんだ」と言葉に出してしまっていました。
今まで、自分の中で無理に否定していた気持ちを、自分の中に確かにある仕方のない気持ちとして受け入れることができたのです。
それからBさんは、旦那さんとの程よい距離の保ち方や、できるところから旦那さんの期待に応えることから始めることで、徐々に気持ちが回復し、普通の生活を取り戻していきました。
以上の例のように、カウンセリングを受けることで、無意識に自分では否定してしまっている気持ちを受け入れ、捉えなおし、その気持ちに従ってどんな行動を取っていけばいいのかがだんだんと見えてきます。
自分の気持ちをないものとして否定することは、自分の本心と、発言や行動等に乖離が生じてしまうことにつながります。
そうではなく、本当の自分を受け入れ、状況が許す範囲で本当の自分に合った行動をとることで、自分らしさを取り戻し、自己肯定感を高めることができるのです。
だから私は、言葉を一緒に考えていきたい
ここまで見てきたように、カウンセリングは、相談者様の顕在化していない気持ちを言語化したり、無意識に否定している気持ちを捉えなおす手助けをしたりすることによって、相談者様が一歩前に進むサポートをすることに他なりません。
相談者様は、カウンセリングを受けることによって、自分の内面世界にある、自分でも言葉にできていない気持ちに言葉が与えられることで、それぞれに異なる新たな目的地に向かって、とてもイキイキと自走できるように変化していきます。
ただ話を聴いて、相談者様の本当の気持ちを言葉にする・・・それだけの行為が、驚くほどに相談者様の人生を良い方向へと変化させることがあるのです。
――だから私は、言葉を一緒に考えていきたい。相談者様の伴走者・心の翻訳者として。
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