小松未歩「風がそよぐ場所」の英文解釈(I won’t~)からわかる世界観

このページでは、小松未歩さんの「風がそよぐ場所」という歌の歌詞の最後の英文部分の和約について考察しています。

【英文】
I won’t forget your sweetness really so.
Just like I say I would be…

【直訳】
あなたの優しさを忘れない。心からそう思っている。
私が普段からそんな風になれたらいいなと言っているように・・・

【意訳】
(いつかこの星が滅びてしまう日が来ても)私はあなたの優しさを(死後の魂の世界でも)忘れない。心からそう(優しい人だと)思っている。
普段から、あなたのように優しい人で(自分も)ありたいと言葉にしているように・・・

なぜこのような解釈になるのか、簡単に解説いたします。(個人的な見解である点、ご了承くださいませ)

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I won’t forget your sweetness really so.の和訳は?

まずは前半部分についてです。“I won’t forget your sweetness”は問題ないでしょう。

won’tは意志・未来を表すwill notの省略形で、won’t forgetは「忘れない」という意味です。

sweetnessは「甘さ」といった意味の他に、「親切さ」「優しさ」といった意味があります。

なので、“I won’t forget your sweetness”は「(私は)あなたの優しさを忘れない」などと訳すことができます。

問題は、後に続くreally soです。ここで言うsoはいったい何を表しているのでしょうか?

品詞的にこの位置にreallyとsoが来るのは不自然なので、少々頭の中で文脈を補ってあげる必要があります。

その点を踏まえた上で、ここでのsoは、例えば”I think so.”(私はそう思う)などと同じ、代動詞のsoであり、何らかの動詞の目的語であると考えるのが自然です。

なので、”(I) really (think) so.”などと補ってあげると、意味を推測しやすくなります。

恐らく、以下の2つの意味が考えられるでしょう。

(1) I really think that you are sweet.
私は、「あなたは優しい」と心から思っている。

(2) I really think that I won’t forget your sweetness.
私は、「あなたの優しさを忘れない」。心からそう思っているよ。

(1)は、that節の中にyour sweetnessを当てはめた形です。That節の中には名詞単体ではなくSVを持つ文章が入るので、your sweetnessという名詞をSVCのyou are sweetとしています。

(2)は、really soの前の文全体がthat節の中に入ると考えた形です。

ここまでの範囲だけを見ると、(1)も(2)もどちらもあり得る気がしてきます。

ただ、次に続く文章を踏まえると、(1)の方が自然であると考えられます。その理由は、次章で詳しく見ていきましょう。

Just like I say I would be…の和訳は?

後半部分はどうでしょうか?なんとなく意味は分かるような気がしますが、品詞で見ると不完全な分であるため、ある程度補って考える必要がありますね。

まず、Just likeは「ちょうど~のように」といった意味を表します。Hawaiian 6のMAGICに出てくる”Just like magic.”(まさに手品のよう!)というフレーズが思い浮かびます。

ただ、justはlikeを修飾する副詞ですが、likeは後に名詞を置いて「~ように」という意味を表す前置詞です。この点に、今回の文を解釈する上でのむすかしさが潜んでいます。

なぜなら、likeという前置詞の後に、”I say I would be…”という(名詞ではなく)文が続いているからです。

前置詞の後なのに名詞が来ていないため、あとの文をある程度名詞化して考える必要があるでしょう。

ここでは、Just like (that) I say I would be…と、that節にすれば品詞の面は解決します。

では、that節の中身ですが、I sayは現在形なので、日常的に行われる動作を表します。「(日常的に)”I would be…”と(私は)言っている」のような意味でとらえてください。

問題は、I would be…です。sayは現在形であるのに、wouldは過去形になっています。このwouldは何を表しているのでしょうか?

過去形が用いられる場合、①(時制としての)過去形、②丁寧形、③仮定法の3つが考えられます。

今回は、よく例文として出てくる”I wish I were a bird.”(私は鳥だったらいいのになぁ)と同様、I would~を仮定法と考えるのが適切です

したがって、I would be…は、「私が・・・(beいかに省略されている内容)だったらいいのに」という意味を表しています。

あとは、beの後の…の部分に省略されている内容も明らかにしておきたいところです。

ここに省略されている内容は、これまでの歌詞の内容から推測できる内容であると考えるのが自然です。

そう思ってさかのぼってみると・・・前文にすでにそれらしい箇所があるじゃないですか・・・”you are sweet”!(your sweetnessを読み替えたものです)

以下の文のように考えると、意味がよくわかります。

(1) I would be sweet like you.

(2) I would be a person of (your) sweetness.
※(2)のofは、あとの名詞を形容詞化するためのofです。

つまり、(自分も)あなたのように優しい人物であれたらいいのに、という現実とは異なる理想や願望を述べている部分なのです。

ここにさらにI sayを加えて”I say I would be sweet like you.”と解釈すると、「私もあなたのようにやさしい人でありたいと(定期的に)言っている」という意味が浮かび上がってきます。

さらに、そこにJust likeを加えれば、「まさに、いつもあなたのようにやさしい人でありたいと言っているように」という意味であることがわかります。

・・・ここまで考察して、ようやく最初の文のreally soに戻ることができます。

このページの前半で、really soの意味は以下の2つのどちらかであると考えられる、と述べました。

(1) I really think that you are sweet.
私は、「あなたは優しい」と心から思っている。

(2) I really think that I won’t forget your sweetness.
私は、「あなたの優しさを忘れない」。心からそう思っているよ。

そして、後半の文(Just like I say~)は「まさに、いつもあなたのようにやさしい人でありたいと言っているように」という意味であることを確認してきました。

この後半の文と照らし合わせたときに、(1)と考えると、「あなたのことを優しい人だと心から思っているのよ。いつもあなたのようになりたいって言ってるでしょ?」・・・このように自然なストーリーが浮かんできます。

したがって、前半の文(I won’t ~really so.)は、「私はあなたの優しさを忘れるつもりはなくて、心の底からあなたを優しい人だと思っている」といったニュアンスを表していることがわかります。

以上が、今回のような和訳にした理由です。ここまで読んでいただいてより腑に落ちたと思うので、改めて今回の訳文を噛みしめていただければ幸いです♪

【直訳】
あなたの優しさを忘れない。心からそう思っている。
私が普段からそんな風になれたらいいなと言っているように・・・

【意訳】
(いつかこの星が滅びてしまう日が来ても)私はあなたの優しさを(死後の魂の世界でも)忘れない。心からそう(優しい人だと)思っている。
普段から、あなたのように優しい人で(自分も)ありたいと言葉にしているように・・・

英文の箇所を「風がそよぐ場所」の世界観と照らし合わせてみると

今回訳してみたはいいのですが、内容がそもそも「私はあなたの優しさを忘れない。心からそう思っている。」って、まるで相手が死ぬことを前提に話しているので、どこか悲しい感じがしますね。

それもそのはず、この曲はそもそも、「このまま無理を続ければ私たちの星は滅びゆく運命にある」という前提で書かれているからです。たとえば、歌詞の以下のような部分に表れています。

住みづらくしたのは 自分たちの責任

緑が息づく 唯一の星なのに

いつか滅びゆく日が来ても じたばたしない

――小松未歩「風がそよぐ場所」より引用

だからこそ、私は意訳に()括弧書きで、「(いつかこの星が滅びてしまう日が来ても)私はあなたの優しさを忘れない」と入れているのです。

そして、住んでいる星ごと滅んでしまうのであれば、自分も一緒に滅ぶことは避けられない・・・だからこそ、「あなたの優しさを(死後の魂の世界でも)忘れない」と、わざわざ(死後の魂の世界でも)と補足しているんですね。

自分も相手も滅んでしまったら、物的世界で相手のことを覚えておくことはできないと考える方が自然ですからね・・・。

もちろん、「モンスターファーム~円盤石の秘密~」の世界の話を前提としているのであれば、「いつかは元の世界に帰ってしまうから」という意味でも捉えることができます。

それでも、上記に引用した歌詞のことも考えれば、少なくともやはり歌の中では星や環境が滅びゆくということが前提である、と考えるのが自然だと私は思います。

勇気を出し合って向き合い、呼応することで、愛を育んでいきましょう

そして、いつかお互いに会えなくなったとしても、育んだ愛は、集合的無意識のようなスピリチュアルな世界に持ち込める素敵な思い出にすることができるから

・・・私には、そんな素敵なメッセージであるように思えます。

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この記事を書いた人

「言葉と傾聴で人の心を豊かにすること」をライフワークとするカウンセラーです。あなたの心の奥に眠る思いを言葉に翻訳します。詳細はこちら

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